令和5年9月定例会報告~一般質問~
9月定例会の一般質問は環境をテーマに、大きく2点を取り上げました。1つはマクロの視点からゼロカーボンシティ推進に向けた取組について、もう1つは日々の暮らしの視点から地域の資源ステーションの持続可能性について、市の考えを質しました。
質問項目は下記のとおりです。
1.本市の環境施策を今後も適切に維持、発展させていくための持続可能な取組について
(1)ゼロカーボンシティ実現に向けた取組における自治体連携の可能性について
①ゼロカーボンシティ実現を目指していく中で、「水源の森林の保全・育成に関する連携協定」はどう生かされるのか
②王滝村及び木曽町が発行するJクレジット購入による市内企業のカーボン・オフセット促進についての見解はどうか
(2)地域の資源ステーションの運営体制における持続可能性について
①担い手の確保等、地域の資源ステーションの運営上の課題について、どのように認識しているか
②ステーションの設営、立ち会い、片付けといった作業の負担軽減を求める地域の声を、どのように受け止めているか
③作業の外部委託や常設型の導入等、運営の省力化を検討してはどうか
④当番を担うことが困難な世帯に対し、作業の代行支援を行う取組についての見解はどうか。
去る7月1日、 私たちの暮らす知多半島に命の水を供給する愛知用水の水がめ、牧尾ダムを擁する交流都市の王滝村、そして、木曽町との間で、「水源の森林の保全・育成に関する連携協定」が締結されました。
この中に示された5つの基本項目の4つ目には「森林資源の活用を通して脱炭素社会の実現を目指します」と謳われており、本市のゼロカーボンシティ実現に向けた今後のまち全体の取組として、この協定を通じた連携をどう生かし、また、どのようなプラス効果につなげていくのか、まずは市としての方針を確認するとともに、 令和2年12月定例会の一般質問で取り上げた「Jクレジット」制度についても、先進自治体である木曽町に加え、王滝村も新たに国の認証を受けて発行、販売を行う見通しであることが今年7月に行った会派視察調査で明らかになったため、両町村のクレジット購入による市内企業の「カーボン・オフセット(※注)」促進に対する見解についても、改めて尋ねたものです。
(※注)
「カーボン・オフセット」とは:削減努力を可能な限り行ったうえで、どうしても減らすことができないCO2排出量の全部または一部を、他の場所での吸収、削減で埋め合わせ、相殺するもの。
特に1点目の主眼であるJクレジットの活用については、市民協働部長より「各民間事業者が現状分析を踏まえた中で、王滝村、木曽町が発行するJクレジット購入によるカーボン・オフセットの利用は、様々な脱炭素経営の手段の一つとして有効」との前向きな認識が示され、完全にゼロ回答であった前回の答弁から大きく前進しました。
宮下はこれに対し、「明確な指標を前提に『減らす』行動をより具体的に取れるよう、できるところから、できる限りの排出削減にしっかりと尽力していただけるよう、市としても最大限のバックアップしていくことが、今後も変わらぬ前提」としたうえで、「水源地自治体との上下流域交流を起点に、市内企業のJクレジット活用につなげる取組は県内におそらく例がなく、国内的に見ても少ないのではないか」と指摘。近隣あるいは県内の上下流域交流に好影響を与える先進事例となり得る旨、意見を申し述べました。
地域の資源ステーションの持続可能性については、高齢を理由とした自治会等からの退会によって、1世帯あたりの当番負担がますます重くなっているという悪循環が、すでに市内各所で見受けられる状況となっており、 深刻な現状を訴える地域の声は無所属クラブの宮下、飯尾の両名にもそれぞれ寄せられています。
そこで、当番支援の取組を行っている兵庫県猪名川町の事例を紹介しつつ、地域の資源ステーションの運営上の課題、作業の負担軽減を求める声に対する受け止め、運営の省力化、当番の代行支援という4項目について、それぞれ市の見解を尋ねたものです。
ステーション運営の省力化についての答弁では、「(回収量に応じて交付されている)資源回収報償金や資源売払金等を活用して、設置や片付け等の業務を外部委託することや、常設型回収ステーションとして土地を借り上げることなども負担軽減策の一つ」との認識が示されたものの、同時に、あくまで各地域の住民間で議論し、決めるべきことであるというのが、所管課の基本的なスタンスであることも伺えました。
一方で、当番を担うことが困難な世帯への作業の代行支援については、「高齢化や自治会の加入状況から、地域だけでは解決できない課題」に対し、「代行支援により、ともに解決していくことも方策の一つ」との考えが示されたことから、最後に、本市の高齢者軽度生活援助事業『ねこの手サービス』を取り上げ、使えるサービスの内容に、ごみ集積所や資源ステーションの当番支援を加えること、また、高齢者の単居あるいは高齢者のみの世帯に限らず、ひとり親や共稼ぎの子育て世帯にも対象を拡充することを、意見の中で提言しました。