「放課後学習教室」のススメ ~ “自立的な勉強習慣” を身につけてもらうための環境整備を~

家庭環境を大きく変えた「働き方」の多様化

かつて『サザエさん』のような多世代型の家族構成が多かった我が国の家庭の姿は、やがて昭和の高度経済成長とともに核家族化が進み、バブル崩壊後、平成の長い長い経済停滞のトンネルを経て、今や夫婦共稼ぎでなければ子どもを生み育てることも難しい時代になりました。

多世代同居や専業主婦が一般的な時代には当たり前だった「家に帰ればお母さんがいる」「いつも家にはおじいちゃんかおばあちゃんがいる」といった家庭環境は、もはや過去のものになりつつあります。

 

自宅学習の習慣づくりを家庭に委ねるのが難しい時代に

一方で、夫婦共稼ぎの核家族がむしろ一般的となりつつある中、子どもたちの自宅での勉強習慣づくりは未だ家庭教育に委ねられたまま、あるいは塾や家庭教師が代わりにその役割を担っているというのが現状です。

また、塾などに外注できるだけの経済力がある家庭であっても、家でやらせなければならない宿題の量が増えただけで、「子どもを勉強机に向かわせるのが毎日とても大変…という状況に変わりはない」と嘆く親御さんのため息は、塾で子どもたちの勉強を長年見てきた中で、今もそこかしこから聞こえてきます。

 

すべての子どもたちに “自立的な勉強習慣” を

ましてや、塾に行かせたり家庭教師をつけたりすることが経済的に難しい家庭ではなおのこと、分からないところで躓いてしまった我が子の勉強を見てあげられる時間的な余裕すらなく、そのまま自宅学習から遠ざかってしまう子も少なくありません。

義務教育である小・中学校において、すべての子どもたちに基礎学力をきちんと身につけてもらうことは市教育委員会の責務であり、そのための大切な要素として不可欠なのが “自立的な勉強習慣” です。ここが未だにそれぞれの家庭に委ねられている状態は、やはり改められる必要があります。

 

「放課後学習教室」という提案

そうかと言って、すでに過重ともいえる教師の労働環境が大きな問題となっている現状で、学校の先生たちの仕事をさらに増やすということもできません。

そこで、私が政策の中で提案しているのが「放課後学習教室」です。富山県立山町の雄山中学校で実際に行われている取り組みで、放課後や夏休みに常駐する「学習支援サポーター」が質問や学習相談に個別に応じてくれる、いわば「分からないところだけ先生に聞くことができる自習室」です。

立山町では「学習支援サポーター」に大学生を雇用していますが、定年で退職された元教師をはじめ、然るべきキャリアをお持ちの元社会人の方々にもご協力いただくことができれば、地域の世代間交流にもつながっていくのではないかと思います。

 

ポイントは「安全・安心で楽しい居場所づくり」

実際に立山町で現地を見させていただいたことがありますが、主要5教科すべての単元の学習プリントが整然と準備されていて、普段の予習・復習やテスト対策などにどれでも自由に使うことができますし、主眼はあくまで “自分で勉強する” 習慣づくりなので、学校や塾で出された宿題の持ち込みも許されています。

「みんなの迷惑になる行為はしない(大きな声で騒ぐなど)」という当たり前のルールさえ守れば、ある程度の私語もOKなので、友達同士でやってきて楽しそうにプリントや宿題に取り組む子どもたちの姿が印象的でした。「コンビニに寄り道してしまう」「一人で家にいてもゲームをしてしまう」といった子どもたちにとっても、安全・安心で楽しい居場所をつくることが最も大事なポイントなのです。

 

“自立的な勉強習慣” は社会を逞しく生きていくための基礎体力

義務教育にとって大切なのは、教科書の中身を頭に詰め込むことではなく、“自立的な勉強習慣” をきちんと身につけさせてあげることです。逆に言うと、それさえ自分のものにできれば、教科書の知識は後でいくらでも追いつくことができます。

そして、学校教育を終えて社会人になってからの方が、日々勉強しなければならないことは山ほどあります。

やがて、教科書で学んだ知識では答えを導き出せない困難にぶつかった時、自ら学ぶチカラがしっかり備わっていることは、今後ますます「予測困難な時代」となっていく未来を生きる子どもたちにとって、社会の荒波を逞しく生きていく上で欠かせない基礎体力となるはずです。