人生100年時代の『健康都市』づくり ~人生の先輩の皆さんが “第二の青春期” を元気に謳歌する姿が “現役世代の希望” になる!

時代とともに大きく変わった “人生のスケール”

「人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり」といえば、織田信長公が好んで舞ったとされる幸若舞『敦盛』の有名な一節ですが、日本人の平均寿命は江戸時代でも30代~40代(※諸説あり)でした。それが一気に60歳を超えたのは戦後復興期の1950年代。その後もぐんぐん伸びていき、女性の平均寿命が75歳に達したのは1971年、男性も約15年遅れで追いかけていくことになります。

現在の生活モデルの基盤をつくった戦後以降、長らく私たちの人生は、15年~20年ほどを成長と学びに費やし、それから社会に出て働くこと40年、その後10年~15年が老後でした。年金もこの時代の “人生スケール” でこそ成り立つことができましたが、高齢化に少子化も加わって制度の前提が大きく崩れてしまったことが、我が国でも長らく議論が続く社会保障問題の大きな側面のひとつです。

 

世界のトップクラス長寿国・日本で「人生100年時代」が見えてきた

昨年、内閣府が『人生100年時代構想』を打ち出したことで、「人生100年時代」という言葉が盛んに言われるようになってきました。逼迫する社会保障問題という背景が容易に想像できることから、将来を不安に感じている方も少なくないのではないでしょうか。

一方で、最近の60代以上の皆さんを拝見していると、ほんの20~30年前と比べても「お年寄り」などとお呼びすること自体が失礼ではないかと感じるくらい、大変お元気で若々しい方が本当に多くなりました。「自分も20年後にそうありたい」という憧れの気持ちとともに、もはや “高齢者” という概念が変わりつつあることを心から実感しています。

 

60歳からの人生=もはや「老後」ではない

先ほど述べた戦後モデルの “人生スケール” では、60歳で退職してから10年~15年ほどが いわゆる「老後」と呼ばれるものでした。しかし、それも人生100年ともなれば一気に40年という、現役時代に匹敵する長さとなります。

社会に出てからの40年は仕事や子育て、教育に全力で走り続けてこられたことでしょう。「人生100年時代」 では、さらにそこから40年もの期間があるのですから、それは文字通り “第二の人生” あるいは “第二の青春期” と呼ぶにふさわしいものです。

だからこそ、「現役時代にはできなかったこと」や「好きなこと」に夢中になれる、自分のための時間を少しでも長く楽しんでいただきたいと思いますし、そのための新たな社会の仕組みづくりもまた、政治が果たすべき大事な仕事であるはずです。

 

「人生100年時代」 の『健康都市』づくり

このまちの『健康都市』としての歩みについては、移住者の私があえて論ずるまでもないでしょう。市の基本方針である総合計画の第一次に盛り込まれた昭和49年以降、大府市の行政は『健康都市』をまちづくりの基本理念の中核に据え、市民の健康づくりにコツコツと取り組んできた長い歴史があります。また、「あいち健康の森構想」に伴い、昭和62年に出された『健康づくり都市宣言』は、市民一人ひとりの健康を通じた健全な地域づくりを謳う素晴らしいものです。

同宣言の最後に「長寿社会に向けて」とある通り、30年の年月を経て平均寿命は男女ともに5歳伸び、その意味で「長寿社会」は現実となりました。しかしながら、先ほども述べたように、かつて「お年寄り」とされてきた年代もまた驚くほど若返ってきており、「老後」の概念そのものが変わりつつあるのです。

行政が市民の健康づくりに取り組む動機として、真っ先に連想されるのは「増大する医療費の抑制」です。それも大事なのはもちろんなのですが、それ以上に、「これから40年にもなる “第二の青春期” を、少しでも長く元気に過ごしていただくために何ができるか?」を見直す意味で、「人生100年時代」に合わせた『健康都市』のあり方を再考してみることも必要なのではないでしょうか。

 

人生の先輩たちが “第二の青春期” を謳歌する姿が “現役世代の希望” になる

まもなくやって来る「人生100年時代」をどう生きるかは、私を含め現役世代にとって20年、30年、40年先の未来というだけでなく、すべての世代がいずれ必ず通る道でもあります。逆に言えば、その第1世代となる今の60代~70代の皆さんが “第二の青春期” を一日でも長く、元気に、全力で謳歌する姿こそが若い世代の希望になるのです。

まだまだバリバリ働きたい人、キャリアや資格を生かして地域に貢献したい人、ひたすら趣味に没頭したい人…人生の先輩の皆さんはそれぞれに “第二の青春期” を全力で謳歌し、その後ろ姿を未来の希望として現役世代は誇りをもって社会を支え、若者は柔軟に未来を切り拓きながら力強く責任世代へと成長する―そんな好循環を通じて、市民みんなが、まち全体が世代を超えて元気になっていくというのが、これからの理想の共生社会ではないかと思います。

 

すべての道は『健康都市』に通ずる

だからといって、「今の仕組みを大きく変えよ」と言っているわけではありません。これまでの取り組みは今後もしっかり進めながら、いつまでも元気に暮らせる安心のまちづくりを進めることこそが、「人生100年時代」の『健康都市』には欠かせないということです。

例えば、バスなどの二次交通をしっかり充実させることも、立派な方策の一つです。免許を返納した途端に外出手段が大きく損なわれ、好きな時に買い物を楽しむことができなくなったり、気の合う友人と頻繁に会えなくなったり、生活の潤いとなり得る機会の多くを失ってしまったために、みるみる元気をなくしてしまった…大府市以上に車社会の田舎に暮らしていた頃、私はそんなご年配の方をたくさん見てきました。

そういったことがないように、駅へ、スーパーへ、病院へ、市内どこの地区からも便利に行き来できる二次交通をしっかり整備することもまた、いくつになっても “第二の青春期” を謳歌できる地域づくり、まちづくりにつながってくるのです。

 

大府市を “人生100年時代の健康づくり” の先進地域へ

このように、これからのまちづくりを足もとから一つひとつ再検討していくことで、長い時間をかけて大事に育ててきた『健康都市』の基本理念を、市民の皆さんのためにもっともっと発展させることができるはずです。

やがて大府市が “人生100年時代の健康づくり” の先進的な地域として、日本中の注目を集める―そんな10年後をめざして、地域のことを皆さんに一つひとつ教えていただきながら、市民みんなの未来のために提言を行っていきたいと考えています。