令和4年6月定例会報告〜一般質問〜
6月定例会の一般質問は、「『子育て応援都市おおぶ』のさらなる推進のために」と題し、「保育の質の確保」と、「親等の親族が身近にいない世帯への子育て支援」、中でも0歳児、特に生後6か月までの子育て支援の拡充について、市執行部の考えを質しました。
質問項目は下記のとおりです。
(1)大府市のより良い保育のために
①「児童福祉施設等再編計画」に示した在り方の課題に対する取組状況と、今後についての考えはどうか
②「保育の質ガイドライン」を策定している自治体もあるが、本市の考えはどうか
③より良い保育人材を確保するため、本市で働く保育士を積極的に応援する取組を行うことについて、どう考えるか
④一般的な保育職の業務だけにとどまらない公務員保育士の役割について、どのように考えているか
(2) 親等の親族が身近にいない子育て世帯への支援について
①0歳児、特に生後6か月までの子育て支援の現状はどうか
②一時的保育の0歳児への拡充や、産後ヘルパー派遣等のサポートについての考えはどうか
かつては知多5市5町の他自治体の多くと同様、市の公立園がほとんどであった大府市の保育体制ですが、待機児童を解消するために私立園誘致を積極的に進め、保育の量的確保を図ってきた経緯があります。
その後、国の保育政策の論点が「量から質へ」と移る中で、本市の「児童福祉施設等再編計画」にも「保育の質」と「新たなニーズへの対応」が盛り込まれました。1点目(計4項目)の質問は、同計画がスタートしてから今年4月で2年が経過したことを踏まえ、これまで取り組みにおける課題と今後に向けての考えを問うたものです。
市長からは、「保育の質」の向上を市全体で図るため、保育士研修や園長会議等を公私合同で実施するとともに、昨年度からは私立担当指導保育士を配置したことで、公立園で培った経験と民間保育施設の特色の共通理解を深め、大府市の保育目標の共有を図っているとの答弁がありました。
また、待機児童解消が積極的な私立園誘致によって進められてきた流れの一方、安心・安全な保育を担保する指針として、都市部を中心に多くの事例がある「保育の質ガイドライン」の策定についての考えを尋ねた項目に対しては、健康未来部長より、国の定める「保育所保育指針」を前提に、市内の全保育園における毎年度の「保育計画」作成を通じて、共通の認識を持った保育を実施しているとの見解が示されました。
宮下はこれらの答弁を受け、市内全保育園で共通の認識を持った保育が適切に維持されるよう、毎年度の「保育計画」作成におけるPDCAサイクルをどう担保しているのか、再質問で改めて質し、これに対して幼児教育保育課指導保育士は、県の監査内容にも含まれている自己評価の「チェックリスト」を通じた園長、園長補佐による指導を挙げ、「私立園でも必ず実施するよう、私立担当指導保育士が確認している」と答えました。
2点目(計2項目)の質問の主眼は、0歳児、特に生後6か月までの子育て支援の拡充です。
本市の施策としては、心身が不安定になりやすい産後の時期にケアや育児アドバイスを受けられる「産後ケア事業」がある一方、日常生活の中で適宜リフレッシュを図ったり、心と体のメンテナンスを自己管理の範囲で行ったりできるサポートをもっと充実させてほしいとの声を、子育て中の市民の方から頂戴していたため、今回、通告内容に盛らせていただきました。
大府市には、頼れる実家が市内や近隣の市町、あるいは県内に所在していない世帯が少なくありません。一方で、増加傾向が続く前期高齢者の就業率を踏まえれば、近居の親がいる子育て世帯であっても、常にサポートを頼めるとは限らないのが現状です。
互助の仕組みである「ファミリー・サポート」 も、援助する側の会員数が地域間で偏在しているなどの課題があり、遠くの地区の人に何度もお願いするのを申し訳なく感じてしまうとの声もあることから、私的サービス利用を含む一時的保育の対象拡大や、産後ヘルパー派遣等のサポートを市に求めました。
まず、一時的保育の私的サービス利用について、健康未来部長は、「昨年度から一時的保育を開始した民間保育施設で、生後4か月および6か月から利用が可能」とし、産後ヘルパー派遣に関しても、「市内NPO法人では、家庭状況に限らず自宅での一時預かりや家事支援等、産前産後支援が行われている」との答弁でした。
宮下はこれに対し、「家庭で子育て応援クーポン」の対象が1歳以上である現状を指摘。
0歳児の一時的保育の私的サービス利用や民間ベビーシッターにも使えるよう、クーポンの対象年齢を拡大したり、NPOや民間の家事代行サービスの利用に対して助成を行ったりするといった対応は考えられないか、再度尋ねましたが、まずはクーポンの利用状況を把握し、分析する必要があるとの回答にとどまりました。
特に生後6か月までの子育ての過酷さから、2人目、3人目を躊躇しているという声が少なくない現実を、市執行部にも真摯に受け止めていただくことで、大府市を「子育て応援都市」の名に一層ふさわしいまちとしていけるよう、引き続き提言を行ってまいります。